昨日、遅番だったので午後から出勤すると、店ではやはりWBC決勝戦の話題で持ちきりだった。
1時間や2時間じゃ語りつくせない素晴らしい試合だった。
仕事前の休憩所は、やはり決勝打となったイチローの10回表の打席の話で盛り上がる。
その中で、うちの店で最も天然ボケなスタッフが、自信たっぷりに言い放った。
「あの最後の打席、敬遠されないためにイチローは不調だったんですね!」
おい、待て。
お前は、イチローが決勝戦の最後の打席をあらかじめ予測して、敬遠されないために自作自演でずーっと不調を演じていたと言うのか?
そんな先読み、羽生名人でもできんわ!
いや、他の人が言ったなら、それくらい凄い打席だったという表現の一つとして捉えられるんだと思うんだけど。
彼はマジで言ってると思う。
皆で、笑いながら突っ込んだ。
でもね、確かにイチローの最後の打席は神がかっていたよ。
普段野球を見ない人もイチローって名前や顔、凄いバッターって事くらいは皆知ってる。
そういう人達もたくさんこの試合を見ていたと思うんだ。
その人達に、最もわかりやすい形でイチローの何が世界最高と言われるほど凄いのかが伝わった瞬間だったでしょ。
9回裏で同点に追いつかれ、向かえた延長10回表の攻撃。
2アウト1,2塁で最後の打席に立つイチロー。
なぜか敬遠せずにイチローとの勝負にきた韓国バッテリー。
必要なのはこの裏での相手の反撃の意思を砕き折るほどの一打。
それが出れば、世界一。
この場面の結果次第で天国か地獄か分かれるほどの緊張感の中、みごとに結果を出すイチロー。
その一振りで世界一を決めた。
イチロー自信も試合後に「あの打席は神が降りてきた」と冗談で話していたが、スポーツには最高の選手に最高の場面が回ってくると言う事がしばしばある。
神様が見えない力で試合を演出するように。
めったに起こらないんだけど、そんな場面に出会うとスポーツ観戦ってやめられなくなる。
その中でもあの打席は格別だった。
イチローの一振りで日本は2点リードとなった。
世界一を確信し沸き立つ日本サイド。
この裏で追いつけなければ負けが確定となり落胆する韓国サイド。
興奮する観客席。TVの前。
あの状況で冷静でいられる人がいるだろうか。
興奮冷めやらぬまま、イチローの次の打者がバッターボックスに入る。
韓国バッテリーも気持ちを切り替えて、投球姿勢にはいる。
プレイヤーも観客も、試合に集中力を戻そうと、浮き足立った心を静めようとしていた。
そんな中、誰よりも早く冷静に戻り、皆が冷静に戻る事に意識を集中してしまっている状況の中だからこそ、有効な戦術を実行に移そうとしている選手がいた。
韓国のピッチャーが投球に入った瞬間、イチローは3塁に向かって走った。
あっさり盗塁成功。
というか、みな唖然とした。
気が付いたら、イチローはもう3塁にいたって感じ。
僕はこのとき、初めてイチローと言う人を『怖い』と感じた。
この、勝利に対するこだわり。
あのムードの中、「まだ試合は終っていない」という感覚で動いていた。
自分の1打でへし折った韓国チームの心に、あわよくば追い討ちをかけようと言うのだ。
普段のイチローのプレイを考えれば、あの盗塁は当たり前の事だ。
しかし、その当たり前をあの場面においても坦々と実行する精神力はハンパないと思う。
なんか、とっても例えが悪いんだけども僕はあの場面を見て、ビルの上からスナイパーライフルを構えて鼻歌交じりに要人を打ち抜くプロの殺し屋の姿を想像してしまった。
僕の個人的感想を言えば、むしろあの盗塁こそが韓国の反撃の心を完全に折ったと思う。
相手のチームにいたらと思うとゾッとする。
でもホント、素晴らしい試合だった。
野球ならではのジリジリ来る静かな緊張感の連続。
試合を決定付けるヒーローの一振りが、その緊張感をドカンと開放する。
それが、ものすごいハイレベルで繰り広げられた試合だったと思う。
そんなに野球を見るわけじゃないけど、今まで見た中で最高に感動した試合だった。
日本野球万歳!
「侍ジャパン」という呼び名はあまり好きじゃないけど、侍ジャパン!感動をありがとう!
おかげでしばらくは旨いビールが飲めそうだよ。
カッコ良かったね!
スター星(親父譲りのダジャレ)のある人っているんだよね☆ただイチローのあの打席は、九回のダルビッシュ次第では来なかった打席だもんね!
スポーツはだから楽しい♪
個人的には今大会のMVPは岩隈だけどね!
奴は安定したピッチングを見せてくれたね☆
ダルビッシュはまだ若いから、あのプレッシャーはきつかったろう。
それでもサヨナラムードをなんとか同点で抑えきった。
守備の良いプレイもあったし。
あそこでサヨナラされてても、やっぱりあの10回のイチローの打席は無かったからね。
岩隈はホント良いピッチングをしてたね。