2008/11/01 00:40:16
家からわりと近いところに動物園がある。
二本足で立つレッサーパンダで一躍全国区に成り上がった動物園だ。
家族で午前中から出かける。
車で15分くらい、行ってみると本当に近かった。
幼稚園の子達が遠足でたくさん来ていた。
子供達はそれぞれに好きな動物の柵の前にスケッチブックを広げて座り込み、クレヨンで絵を書いている。
僕はといえば、子供達の絵と動物を交互に見比べてはニヤニヤしていた。
息子は終始、「あー」だの「うー」だの叫びながら、視線は動物達に釘付け。
うちの子は数年後、どんな絵を描いているだろう。
なんだか、穏やかで優しい時間が園内を流れていた。
忘れたころに動物園に来てみると、動物達は思った以上にデカイ。
ゾウってこんなに大きかったっけ。
キリンってこんなに高かったっけ。
僕らの日常に比べて、動物達の大きさはあまりにリアリティが無い。
作り物なんじゃないかと思うほどである。
彼らが、「フーンッ」と息を吐いてノッソノッソと歩くと、僕は感動と同時に少しだけ恐怖を感じる。
恐怖と言うより、畏怖といった方が良いかもしれない。
恥ずかしげもなく言うのなら、自然を感じる。
大げさに言うのなら、地球を感じる。
誤解を招くのを恐れずに言うのなら、神のようなものの存在を感じる。
映画、『もののけ姫』にでてくる巨大な動物達を思い出す。
彼らはここでは柵の中にいるけども、地球のどこかではノッソノッソと自然の中を闊歩しているのだ。
一通り見て歩いて、僕らは最後に身近な家畜などのいる区画に入った。
息子は牛に見入っている。
理由はわかっている。
家の猫と同じ模様なのだ。
僕は突然ひらめいた。
「そうだ!」と、声が出るほどにひらめいた。
「ここで写真を撮ろう!
牛をバックに家族三人で!
それを来年の年賀状にしよう!
だって、来年は丑年じゃないか!」
ごく身近な人の間では周知の事実だが、僕は声がいちいち大きい。妻が恥ずかしがるほど大きい。
まだ頼んでいないのに隣にいた家族の奥様が声をかけてきた。
「シャッター押しましょうか?」
もちろんお願いした。
よし、棚ボタ的に年賀状の写真まで撮れたし、腹も減った。そろそろ帰ろうか。
写真を撮ってくれた家族にお礼を言うと、なにやらモジモジしている。
僕らに何か言いたそうな顔をしている。
お願い事があるんです。そんな顔をしている。
ごく身近な人の間で周知の事実かどうかは別にして、僕は気がきく方だと自分で勝手に思っている。
彼らが声を出す前に僕は言った。
「写真、撮りましょうか?」
「お願いできますか?」
もちろん快諾。
僕らと同じくらいの歳格好の三人家族。
僕らと同じ構図で、牛をバックに家族写真を撮った。
珍しい動物がたくさんいる動物園で、わざわざ牛の前で家族の記念撮影をしたのは、この日、僕らと彼らくらいだろう。
僕の声は大きい。
きっと、あの家族の来年の年賀状にはあの写真が使われるのだろうなあ。なんて、確かめようの無いことを想像してニヤニヤしながら帰りの車を僕は運転する。
そうだ、来年も・・・と思ったが、この動物園にはトラはいない。

お目当ての風太君は、残念ながらお昼寝中でした。
うちの愛犬の寝顔にそっくりです。
二本足で立つレッサーパンダで一躍全国区に成り上がった動物園だ。
家族で午前中から出かける。
車で15分くらい、行ってみると本当に近かった。
幼稚園の子達が遠足でたくさん来ていた。
子供達はそれぞれに好きな動物の柵の前にスケッチブックを広げて座り込み、クレヨンで絵を書いている。
僕はといえば、子供達の絵と動物を交互に見比べてはニヤニヤしていた。
息子は終始、「あー」だの「うー」だの叫びながら、視線は動物達に釘付け。
うちの子は数年後、どんな絵を描いているだろう。
なんだか、穏やかで優しい時間が園内を流れていた。
忘れたころに動物園に来てみると、動物達は思った以上にデカイ。
ゾウってこんなに大きかったっけ。
キリンってこんなに高かったっけ。
僕らの日常に比べて、動物達の大きさはあまりにリアリティが無い。
作り物なんじゃないかと思うほどである。
彼らが、「フーンッ」と息を吐いてノッソノッソと歩くと、僕は感動と同時に少しだけ恐怖を感じる。
恐怖と言うより、畏怖といった方が良いかもしれない。
恥ずかしげもなく言うのなら、自然を感じる。
大げさに言うのなら、地球を感じる。
誤解を招くのを恐れずに言うのなら、神のようなものの存在を感じる。
映画、『もののけ姫』にでてくる巨大な動物達を思い出す。
彼らはここでは柵の中にいるけども、地球のどこかではノッソノッソと自然の中を闊歩しているのだ。
一通り見て歩いて、僕らは最後に身近な家畜などのいる区画に入った。
息子は牛に見入っている。
理由はわかっている。
家の猫と同じ模様なのだ。
僕は突然ひらめいた。
「そうだ!」と、声が出るほどにひらめいた。
「ここで写真を撮ろう!
牛をバックに家族三人で!
それを来年の年賀状にしよう!
だって、来年は丑年じゃないか!」
ごく身近な人の間では周知の事実だが、僕は声がいちいち大きい。妻が恥ずかしがるほど大きい。
まだ頼んでいないのに隣にいた家族の奥様が声をかけてきた。
「シャッター押しましょうか?」
もちろんお願いした。
よし、棚ボタ的に年賀状の写真まで撮れたし、腹も減った。そろそろ帰ろうか。
写真を撮ってくれた家族にお礼を言うと、なにやらモジモジしている。
僕らに何か言いたそうな顔をしている。
お願い事があるんです。そんな顔をしている。
ごく身近な人の間で周知の事実かどうかは別にして、僕は気がきく方だと自分で勝手に思っている。
彼らが声を出す前に僕は言った。
「写真、撮りましょうか?」
「お願いできますか?」
もちろん快諾。
僕らと同じくらいの歳格好の三人家族。
僕らと同じ構図で、牛をバックに家族写真を撮った。
珍しい動物がたくさんいる動物園で、わざわざ牛の前で家族の記念撮影をしたのは、この日、僕らと彼らくらいだろう。
僕の声は大きい。
きっと、あの家族の来年の年賀状にはあの写真が使われるのだろうなあ。なんて、確かめようの無いことを想像してニヤニヤしながら帰りの車を僕は運転する。
そうだ、来年も・・・と思ったが、この動物園にはトラはいない。
お目当ての風太君は、残念ながらお昼寝中でした。
うちの愛犬の寝顔にそっくりです。
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